米国人ジャーナリストから日本の若者たちへ
「愛国心」に隠されているもの

ブライアン・コバート

今日の世界情勢を見るにつけ、戦争、不安定な経済、崩壊する自然環境を受け継いで行く若者たちの未来はどうなるのかと憂いを覚える。

もし、私が日本の若者たちへ手紙を書くことができれば、それは、このようなものになるだろう。

私はしばしば「あなたたちの生まれた国であるアメリカの若者たちは、なぜ戦争に行きたがるのですか」と聞かれることがあります。

いくつかの理由はあるのですが、最大の理由は、ほんの小さな子どもの頃から「心的な訓練」を受けているからだと思います。その訓練は「愛国心」を育てることなのです。

アメリカの公立小学校では、毎朝授業の前に教室の隅に掲げられた星条旗に向かって「忠誠の誓い」を唱えることから一日が始まります。起立して右手を左胸にあて、先生から選ばれた生徒が暗唱していく「忠誠の誓い」をクラス全員が唱和します。

「私は、アメリカ合衆国の国旗と、その国旗が象徴する共和国、神の基に統一され全ての人々に自由と正義が約束された不可分の国家に、忠誠を誓う」

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「忠誠の誓い」原文
“I pledge allegiance to the flag of the United States of America,
and to the republic for which it stands, one nation, under God,
indivisible, with liberty and justice for all.”
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私が子どもだったときと同様、現在でもアメリカ中の公立学校の何百万もの生徒が毎朝「忠誠の誓い」を暗唱しているのです。

私が中学生の時には、校内放送で軍隊ラッパの行進曲が定期的に流れていたのを覚えています。

アメリカ合衆国では「愛国心」が最上であると考えられています。

異性への愛情や家族愛よりも「愛国心」が上で、そして「愛国心を示す」一番の方法は、海外の敵のところへ行って戦うことなのです。

最近、日本の政府がアメリカ同様「心的な訓練」を若い人々に押し付けようとしているというニュースを見聞きします。一部の政治家は日本の公立学校で「愛国心」を強制しようとしています。同時に彼らは憲法9条を変えて、自衛隊が容易に海外の戦闘地域に行くことが出来るようにしようと考えています。

しかし、わたしはいつも日本の若い人達にこう言っています。

政府には市民の基本的な欲求に応える責任があり、市民と政府の関係は感情的な「愛」などでは決してない。日本の文化を愛することは良いことであるが、政府を愛する必要はない、と。

この数年間で、アフがニスタン、イラクでアメリカの若者3200人以上が命を落とし、その数は増え続けています。

彼らの遺体が故郷に戻る時、アメリカ政府は深夜に棺を軍用機から降ろし、その死を隠そうとします。メディアはその映像を映すことを許されていません。

私の知る限り、ブッシュ大統領は兵士の葬儀に参列していません。

国家に対して誇りをもって忠誠を示すアメリカの若者は「愛国的沈黙」のうちに死んでいくことを保証されているのです。

海外へ出て行って、無辜の市民の命を奪い、破壊してくる事によって示される「愛国心」はこのようにして終わりを迎えます。

長期的な視点に立って考えた時、アメリカと同じような道を日本が追従して行くことが本当に健全であると言えるのでしょうか。

眼を見開き、よく聞き、批判的疑問を呈し、その答えを求めてください。人生そのものが学びの場であり、本当に重要なことは教室だけでは学べません。

若いみなさんを取り囲もうとしているお金、石油、戦争のための「愛国心」について何が起ころうとしているのか、注意深く考えることを薦めます。
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ジャーナリスト・大学講師。アメリカ、日本の両国の新聞社を経て現在はフリーランスとして現在は雑誌「DAYS JAPAN」の編集協力など。9条連近畿会員。