アキノ氏 経済支援を要請する
(Aquino Urges Help for Ailing Economy)


ブライアン・コバート
記者

神戸 —— コラソン・アキノ元フィリピン大統領は彼女の後継者フィデル・ラモス大統領の施政方針を褒め称えたが、自国の経済危機にも言及し、日本をはじめ、アジア諸国による緊急な対応が必要とされていると訴えた。

「いま政治的には安定しているので、現在の重要課題は経済問題です」とアキノ氏は毎日デイリーニューズのインタビューで語った。

「もっと多くの投資がフィリピンに集まり、労働集約産業に参入してくれれば、フィリピン経済の大きな助けとなるでしょう。」彼女はそのように語り、次のように続けた。「スービック海軍基地が開設され、より多くの国々、中でも日本、台湾、香港が関心をもってくれて非常にうれしく思っています。」

日本とフィリピンの関係は政府、非政府の両レベルにおいて今後も安定した状態が続くとアキノ元フィリピン大統領は見ている。彼女が大統領の座についたのは1986年のことだった。当時、フィリピンでは「人民の力」が高まり、その力によって故フェルディナンド・マルコス氏の腐敗政権が追放され、その波の中、アキノ氏は大統領の地位についた。

「日・比関係は常に良好でした。私の大統領政権時代、日本はフィリピンへの最大の援助国でした。」とアキノ氏は語った。「日本政府や日本の人々には本当に感謝しています。いつも真っ先に援助をしてくださり、特に地震やピナトゥボ山の噴火など自然災害の時には大変助けて頂きました。」

日本の歓楽街で多くのフィリピン人女性が働いていることが、長く両国間の問題となっている。その件について、アキノ氏は両政府に調査委員会を設置するように求めた。そこでは、フィリピン人女性がフィリピンのビジネスマンよりもビザの取得が大幅に容易である理由なども調べることになっている。

「フィリピンの日本大使館がビザの発給にもっと慎重になって貰えたら、助かるのですが。」とアキノ氏は述べた。「なぜ日本のビザを取得するのがそれほど難しいのか理解できないのです。大統領だった当時、合法のビジネスマンたちがビザを取得する困難さについて文句を言っていました。しかし、その一方で、多くのフィリピン人女性は容易にビザを取得し日本に来ることが出来ていたのです。」

「ですから、この問題について日本とフィリピンの両政府が協力すれば、きっと双方が満足できる解決に至ることが出来ると思うのです。」

今日はアキノ氏の4日間の関西滞在の最終日となるが、これまでにアキノ氏は芦屋市で開催された国際的な家族介護の会議に日本初の女性市長である北村春江市長と共に出席した。

金曜日、ここ神戸倶楽部で満員の歓迎会が開かれた。これは関西のフィリピンコミュニティの住民たちによるものだ。その中で、アキノ氏は次のように冗談まじり語った。大統領の任期を終えて以来、どれほど海外渡航をしてきたことかわかりません。大統領時代にはほとんど出来なかったことです。政府のクーデターを常に警戒していなければならなかったですから。